不織布 農業 ビニールハウス

不織布(ふしょくふ)は、織ったり編んだりしないシート状の素材です。普通の布は織ったり編んだりしてつくりますが、そのような加工をしない不織布は「特別の性能」を持っています。

その特別な性能は、農業のあらゆるシーンで重宝されています。

不織布を植物の生育で使うと、どのようなメリットが生まれるのでしょうか。

 

農業に多く使われる不織布とは

織ったり編んだりしないで、なぜ布のようなものを作ることができるかというと、不織布は繊維を集めて熱や接着剤で結合させたり、絡ませたりしているのです。

不織布として一般的に知られているのはフェルト生地ですが、現代では見た目がまるで布のようなものや、レザー(皮)のような質感を持ったもの、そして綿状、紙状のものもあります。

ただ不織布に共通しているのは、ポーラス構造であることです。ポーラスは日本語で多孔質(たこうしつ)といい、細かい穴(孔、あな)がたくさん開いている状態です。

 

現代の不織布はさまざまな性状や機能を備えています。

原料は、繊維、羊毛、綿、麻、絹、パルプ、化学繊維(レーヨンやナイロン、ポリエステルなど)さまざまです。

不織布は、さまざまな性状とさまざまな原料を組み合わせることで、農業のあらゆるシーンに対応できる資材に成長してきたのです。

 

農業で不織布を使うことのメリット

農業で生育される植物は、紫外線、風、霜、熱にさらされており、動物などからも攻撃を受けることがあります。そこで農家は、あらゆる「覆い」をして植物を守ります。

苗を入れるポットやビニールハウスも「覆い」のひとつです。

しかし「覆い」の素材はなんでもよいわけではありません。例えばフィルムは保温性や遮光性には優れますが、通気性や保水性に劣ります。

また、通気性に優れた「寒冷紗」という素材が、農作物の遮熱のために、現在まで多く使われてきましたが、更に軽量で保水性に優れる不織布も利用されるようになりました。

このように、不織布は農作物の生育に適した機能を持っています。 不織布にはいろいろな種類のものがあり、その機能も通気性、透水性、保温性、遮光性、遮熱性、保水性、吸水性など多岐にわたります。 コスト面でも、一般的に不織布はフィルムより高いものの、買いやすい価格帯に設定されています。

 

農業で不織布が使われる実例

 

それでは不織布の用途を紹介します。

 

○温室ハウス内のカーテン

不織布を「温室ハウス内のカーテン」として使うことがあります。 これにより、冬季 や夜間の気温の低下を抑えることができますし、寒暖差による結露もできにくくなります。また夏場は遮光、遮熱効果によって温室ハウス内の温度の上昇を抑制できます。

 

○べたがけシート

「べたがけ」は、露地野菜の上を全体的にシートで被う方法です。 「べたがけ」は保温効果を目的にしたものですが、遮光性が高い不織布は植物に必要な日光までさえぎってしまうことから不向きとされてきました。

しかし、その後改良が加えられ、軽量な不織布は「べたがけ」に多く使われるようになりました。

不織布 農業 べたがけシート

 

不織布 農業 ぬくぬく

○育苗用のポット鉢の下敷き資材

「育苗用のポット鉢の下敷き資材」として不織布が使われることがあります。 苗床から苗を容易に移植させなければならないため、下敷き資材は、苗から伸びた根をポット鉢の底の穴から出さないようにしなければなりません。また下敷き資材には、抗菌や鉢のなかの余分な水分の排出といった機能も求められます。

不織布はこのような難しいニーズにも対応できます。

 

○遮光/遮熱シート

農作物にとって、適度な日光を取り込みつつ、余分な熱は遮断する目的で使用されます。通気性に優れ、遮光/遮熱性も併せ持つ不織布は最適です。 温室ハウスに掛ければ、農作物にとって最適な環境を作ることができる上に、農業の作業環境や作業効率も改善されます。 昨今の地球温暖化の影響で、もともとその地域で生産されていた農作物が作れなくなることが懸念されています。 不織布の遮光/遮熱シートは、地球温暖化にも立ち向かえる機能を持っています。

不織布 農業 遮光 ビニールハウス 不織布 農業 明涼 遮光 不織布 農業 明涼 ビニールハウス

不織布 農業 ビニールハウス

不織布 農業 遮光 ビニールハウス

 

○反射シート

太陽の光を効率的に利用するために、さまざまな農作物に利用されています。 果実の色付けをよくするために、日光を果樹の下から果実に向けて反射させることにも使われます。 地表面に、直接置かれることもあり、反射性のみならず強度も重要になります。

不織布 農業 反射材 てるてる いちご農園

<てるてるの写真>

 

まとめ~農業からの「不織布への要望」は尽きない

不織布はヒマラヤの遊牧民が羊の体の毛がもつれているのをヒントにして開発した、と言われています。そしてドイツで1920年ごろに、不織布の大量生産が可能になりました。

第二次世界大戦の軍需製品として合成繊維や合成ゴムと並び不織布も開発されました。日本では1950年代から製造されるようになりました。

 

そして不織布は、農業分野でも使い勝手のよさから多用されるようになりました。しかし実際に使った農家からは、例えば保温性と遮光性という相矛盾する性能を求める声があがるようになり、メーカーはそのようなニーズに応えるべく不織布を進化させてきました。

 

農業資材に求められる今日的なニーズは、①「長期使用」、「耐久性の向上」によるコストダウン、②減農薬栽培が可能となる性能、③除草・防虫性能、など多岐に渉ります。

農家の方たちは、不織布のさらなる進歩を期待しています。