第3回 ポリエチレンができるまで

ポリエチレンは、エチレンを重合させて製造されます。

ポリエチレンは、2014年には日本で260万トン生産され、最もよく使われているプラスチックです。エチレン生産量のうち40%がポリエチレンになります。

エチレンCH2=CH2を重合してつくるので、構造式は(-CH2-CH2-)nで表わされます。石油やパラフィン、ワックスなどと同じ炭素と水素の一重結合だけからつくられている高分子化学品です。しかし、分子量は石油に比べるとはるかに大きく数万から数十万もあります。一般に分子量が大きいポリエチレンほど強く、硬いものになります。

ポリエチレンは、分子構造の違いにより、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンの3タイプに分類されます。

 

(1)低密度ポリエチレン(LDPE)

1930年代に世界で最初につくられたポリエチレンです。エチレンにごく少量の酸素を触媒として加え、1000~3000気圧、150~250℃という過酷な条件でラジカル重合によりつくられます。

長い分岐を持った分子構造が特徴です。この分岐によって、高分子鎖が折りたたまれたり、ほかの分子と並んで結晶をつくったりすることが困難なため、比重が0.91~0.94の柔らかくて透明なプラスチックになります。伸びやすい透明なフィルム、紙にフィルムを張り合わせた牛乳パック、またマヨネーズ容器に代表される中空容器や電線ケーブルの絶縁被覆材料に使われます。

LLDPEが開発されてからは、建設費が高額のため新しい設備の建設は敬遠されています。

(2)高密度ポリエチレン(HDPE)

1950年代に開発されたポリエチレンです。重合触媒を用い、1~30気圧、50~100℃でつくられるので、設備の建設費はLDPEに比べてはるかに小さくなります。また、チーグラー・ナッタ触媒や1990年代末に工業化されたメタロセン触媒など、新しい触媒開発によって生産性と性能の向上が着実に進んでいます。

分岐がほとんどない分子構造が特徴なので、結晶をつくりやすくなり、比重は0.94~0.97でLDPEに比べると硬く、強く、半透明なプラスチックになります。スーパーレジ袋のような薄くて強いフィルム、灯油缶や自動車ガソリンタンクのような中空容器によく使われます。

(3)直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)

1970年前後に開発されたHDPEの製造条件でつくられるLDPEに相当する性能をもつポリエチレンです。エチレンに1-ブテンや1-ヘキセンのようなα―オレフィンを共重合することによって、ポリエチレン分子の主鎖が直鎖状(リニア)でありながら、短い分岐(炭素数で2~6程度)がたくさんある分子構造になるため結晶をつくりにくく、LDPEの性能を発揮します。