第5回 ポリエチレンの性能と用途
ポリエチレンは、分子構造の違いにより、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンの3タイプに分類されます。それぞれのポリエチレンの性能と用途は次の通りです。
(1)低密度ポリエチレン(LDPE)
①衝撃強度が高く、耐寒性に優れる ②電気的特性に優れる
③フィルムは透明度が高い ④ヒートシール性(熱圧着)を持つ
⑤成形加工しやすい
(2)高密度ポリエチレン(HDPE)
①強度・弾性率が高い ②電気特性に優れる
③フィルムは半透性である ④耐熱温度が高い(120℃以上)
⑤成形加工しやすい
(3)直鎖状低密度ポリエチレ(LLDPE)
分子構造が直鎖状であるため、LDPEに比べて次の特性があります。
①靭性に優れるが、成形加工性は劣る ②薄くても強度に優れる
③低温でもヒートシール性に優れる
また、メタロセン触媒で重合されたメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンは、従来触媒(チーグラー・ナッタ触媒)と比べて非常にシャープな分子量分布を示し、コモノマーの分布も均一なので、引裂・引張・突刺し強度・耐ピンホール特性に優れた性能があります。
ポリエチレンの性能上の注意点としては、耐紫外線性、印刷性、接着性などの対応が必要になることがあります。
(4)用途
成形方法としては、射出成形、押出成形、中空(ブロー)成形、熱成形、回転成形などを適用できるので、幅広い用途に使用されています。代表的な用途は次の通りです。
- 射出成形品:コンテナ、バケツ、文具
- 押出成形品:フィルム(食品包装、農業用、土木建材用)、シート、パイプ、電線被覆、ネット
- 中空成形品:洗剤、食品、灯油などの容器、ガソリンタンク
<押出成形品>
<中空成形品>